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樹木希林名言集最後の直筆メッセージがんのおかげで成熟した!不登校新聞

9月1日は子供の自殺が増える、新学期を前に樹木希林が生きづらさを覚える10代に送る直筆メッセージと不登校新聞に以前掲載されたメッセージを紹介。
自閉傾向が強く発達障害に近かった幼少期や不登校やひきこもりの子供について語るロングインタビューでは名言が炸裂!


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樹木希林直筆メッセージ

「ずっとずっと考えていて、お返事が遅くなっちゃったの。ごめんなさいね」
「どうしたら伝わるのかしら。本当に無力よね、まったく書けないの」

「でもね、死んだ後の世界は素晴らしい、という風に、私は捉えていないの。生きている時より、大変らしいのよ。脅しみたいになっちゃうけどね」

という電話での会話のあと、届いた直筆メッセージ

昔からの本を読むと およそ 同じことを言っている
自殺した魂は 生きていた時の 苦しみどころじゃ ないそうだ
本当かどうかは わからないけど
信用している

私は弱い人間だから
自分で命を絶つことだけは
やめようと 生きてきた
こんな姿になったって
おもしろいじゃない

KIKI KILIN 75才

樹木希林の幼少期

私の小学校時代を知っている人たちは「あの子が女優? まさかね」と、さぞ驚いたことと思います。
だって、多くの人は私の声も聞いたことがないんですよ。いつも懐手をして、ほとんど口を利かない子だったんです。

学校では、みんながいるところから、少し隙間を空けて立っている子でした。端っこから、周囲の人間をよく見ていました。

私は何だかモサーッとしていて、運動会でもいつもビリでした。だから6年生の水泳大会ではクロールや平泳ぎじゃなく、「歩き競争」というのに出たの。そんな種目に出る上級生は私だけ。あとは小さな低学年の子たちでした。

そんなわけでタッタタッタと歩いていたら、あっという間にゴールして1等賞になっちゃった。そしたら、賞品がね、他の種目と同じなのよ。周りの6年生が「なんだ、こいつ。ずるい」と不平を言ってるのが聞こえました。

たぶんこの時、他人と比較しても意味がない、ということを覚えたんだと思う。それは今も続いています。
引用:2018年5月10日 朝日新聞朝刊 『語る 人生の贈りもの』から

樹木希林からのメッセージ不登校新聞

新学期が始まる日、まわりのみんなが「おはよう、今日から学校だね」って笑顔で言葉を交わすとき、「私は学校に行きたくない」ということを考える気持ち、何となくわかります。

 だから思うの、そう思うこと、それはそれでいいじゃないって。

 私は小さいとき、自閉傾向の強い子どもでね、じっと人のことを観察してた。学校に行かない日もあったけど、父は決まって
「行かなくてもいいよ、それよりこっちにおいで、こっちにおいで」
って言ってくれたの。だから、私の子どもがそういうことになったら、父と同じことを言うと思う。

 それにね、学校に行かないからって、何もしないわけじゃないでしょう。人間にはどんなにつまらないことでも「役目」というのがあるの。

 「お役目ご苦労様」と言ってもらえると、大人だってうれしいでしょう。子どもだったら、とくにやる気が出るんじゃないかな。

 ただね「ずっと不登校でいる」というのは子ども自身、すごく辛抱がいることだと思う。うちの夫がある日、こう言ったの。「お前な、グレるってのはたいへんなんだぞ。すごいエネルギーがいるんだ。そして、グレ続けるっていうのも苦しいんだぞ」って。

 ある意味で、不登校もそうなんじゃないかと思うの。学校には行かないかもしれないけど、自分が存在することで、他人や世の中をちょっとウキウキさせることができるものと出会える。そういう機会って絶対訪れます。

 私が劇団に入ったのは18歳のとき。全然必要とされない役者だった。美人でもないし、配役だって「通行人A」とかそんなのばっかり。でも、その役者という仕事を50年以上、続けてこられたの。

 だから、9月1日がイヤだなって思ったら、自殺するより、もうちょっとだけ待っていてほしいの。そして、世の中をこう、じっと見ててほしいのね。あなたを必要としてくれる人や物が見つかるから。だって、世の中に必要のない人間なんていないんだから。

 私も全身にガンを患ったけれど、大丈夫。私みたいに歳をとれば、ガンとか脳卒中とか、死ぬ理由はいっぱいあるから。

 無理して、いま死ななくていいじゃない。

 だからさ、それまでずっと居てよ、フラフラとさ。

――2015年8月22日・登校拒否・不登校を考える全国合宿in山口/基調講演「私の中の当り前」から


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不登校新聞2014年樹木希林インタビュー

石井志昂(以下・石井) 今日はありがとうございます。まずは一番気になっていることからお聞きします。なぜ『不登校新聞』に出ていただけるんですか?

樹木希林(以下・樹木) いやあ~、こんな新聞があるんだな、と。私も年を取りましたけど、まったく知りませんでしたから。最近はほとんど取材を受けてないんですが、ぜひ新聞をつくっている人に会えたらと思ったんです。ただ、読んでみたらなんてことはない、私もその傾向があったなと思います。小さいころからほとんどしゃべらず、じーっと人影から他人を見ている、自閉傾向の強い子でした。当時は発達障害なんて言葉はなかったけど、近かったと思います。

夫・内田裕也はありがたい存在
石井 私が取材したいと思ったのは、映画『神宮希林』のなかで、夫・内田裕也さんについて「ああいう御しがたい存在は自分を映す鏡になる」と話していたからなんです。これは不登校にも通じる話だな、と。

樹木 あの話はお釈迦さんがそう言ってたんです。お釈迦さんの弟子でダイバダッタという人がいます。でも、この人がお釈迦さんの邪魔ばっかりする、というか、お釈迦さんの命さえ狙ったりする。お釈迦さんもこれにはそうとう悩んだらしいですが、ある日、「ダイバダッタは自分が悟りを得るために難を与えてくれる存在なんだ」と悟るんです。

 私は「なんで夫と別れないの」とよく聞かれますが、私にとってはありがたい存在です。ありがたいというのは漢字で書くと「有難い」、難が有る、と書きます。人がなぜ生まれたかと言えば、いろんな難を受けながら成熟していくためなんじゃないでしょうか。今日、みなさんから話を聞きたいと思っていただけたのは、私がたくさんのダイバダッタに出会ってきたからだと思います。もちろん私自身がダイバダッタだったときもあります。ダイバダッタに出会う、あるいは自分がそうなってしまう、そういう難の多い人生を卑屈になるのではなく受けとめ方を変える。自分にとって具体的に不本意なことをしてくる存在を師として先生として受けとめる。受けとめ方を変えることで、すばらしいものに見えてくるんじゃないでしょうか。

病気になって年を取って
石井 そう思うきっかけはなにかあったのでしょうか?

樹木 やっぱりがんになったのは大きかった気がします。ただ、この年になると、がんだけじゃなくていろんな病気にかかりますし、不自由になります。腰が重くなって、目がかすんで針に糸も通らなくなっていく。でもね、それでいいの。こうやって人間は自分の不自由さに仕えて成熟していくんです。若くても不自由なことはたくさんあると思います。それは自分のことだけではなく、他人だったり、ときにはわが子だったりもします。でも、その不自由さを何とかしようとするんじゃなくて、不自由なまま、おもしろがっていく。それが大事なんじゃないかと思うんです。

石井 なるほど、それでは樹木さんがどんな子ども時代を送ったのかを、お聞きしてもいいでしょうか?

樹木 私が生まれたのは昭和18年1月15日、戦争の真っ最中でした。生まれたのは神田の神保町。母親はカフェをやっていて、父親は兵隊にとられていました。何度も住む場所を変えながら暮らしたそうです。記憶に残っているのは、青梅街道のバラック街。見渡すかぎりのバラックのなかで、幼少期をすごしました。私が4歳ごろのある日、中2階の布団置き場で遊んでいたんです。そしたら、そこから落っこちてしまったんです。打ち所が悪かったんでしょうね、それからというもの毎晩おねしょをするようになりました。たしか10歳ごろぐらいまでは続きました。だから、私の家では毎朝、布団を干していたし、友だちの家に泊まりに行くときはビニール持参(笑)。

 それ以外で記憶にあるのは、いつも友だちがいなかったこと、一人で遊んでいたこと、幼稚園に通うのがイヤだったこと、スポーツが苦手だったこと、人とはほとんどしゃべらなかったこと。しゃべらないのは近所でも評判でね。私がテレビに出始めたとき、まわりはだいぶ騒いだそうです。ほとんど声を聴いたことがないのにって(笑)。

 今ふり返ってみるとポイントだったと思うのが、小学6年生の水泳大会のとき。小学校6年生となれば、背泳ぎだ、クロールだ、とみんなすごいでしょ。私はからっきしダメ。なので水泳大会の「歩き競争」に出されたんです。プールのなかを歩いて向こう岸まで競争するレース。つまり、泳げない子たちの特別な競走で、私以外は小学校1年生~2年生ぐらいのレースでした。

 歩き競争が「よーい、ドン」で始まると、小っちゃい子たちがワチャワチャやってるなか、私だけすぐゴール。断トツの一等賞よ、なんせ身体が天と地ほどもちがうんだから(笑)。でもね、表彰式で私ニンマリ笑ったらしいの。私も誇らしかったのを覚えています。これが私の財産なんです。まわりと自分を比べて恥ずかしいだなんて思わない。おねしょだって恥ずかしいとは思ってなかった。こういう価値観を持てたのはありがたかった。勝因とさえ言ってもいい。これはもう親の教育に尽きますね。親がえらかった。

 思い返せば、うちの両親はとにかく叱らない親でした。「それはちがうでしょ」と言われた記憶がない。記憶にあるのは「あんたはたいしたもんだよ」と言われたこと。子どもってヘンなことを言うでしょ、ヘンなこともやるでしょ、それをいつも「たいしたもんだよ」と両親は笑ってる(笑)。子どもを見ているヒマのない時代でしたが、ふり返ってみれば、それでもえらかったなと思うんです。

石井 私の祖母も「誰かと自分を比べるような、はしたないことはダメ」と言ってましたが、その一言は、不登校だった私を支えてくれました。

樹木 そう、そういうことを昔の女性は言えたの、ホントに立派だわ。こう言っては悪いけど、そこらへんのおばあさんでしょ。お坊さんでもなんでもない、ただのおばあさんが「比べるなんてはしたない」と言えるんだもの。

子どもはちゃんと自分で挫折する
石井 樹木さんが親になられてからも「叱らない」というのは気をつけていましたか?

樹木 干渉はしなかったです。気にしていたのは食べることだけ。どんなにまずくても、そこらへんのものでは間に合わせず、自分たちでご飯を出していました。でも、それだけですね。

石井 お孫さんがいらっしゃるんですよね?

樹木 しょっちゅう迷惑をかける孫がいるんですよ。よく親のほうが鍛えられてます(笑)。

 まあ娘にも言ってるのが、「そのうち、ちゃんと自分で挫折するよ」って。まわりはやきもきするけど、あれもこれも親が手を出してあとから「たいへんだったんだから」と言うよりは、本人に任せていくほうがいい、と。

子ども若者編集部メンバー 話は変わりますが、私は人間関係で難しいな、と思うことがよくあります。どうすればいいのでしょう?

樹木 それはへんなかたちで自分を大切にしているからでしょうね。これも親の教育の賜物で、私は自分の評価にこだわらなかったから、本当に自分をぞんざいに扱ってきました。というか、人と揉めるのがへっちゃらなの。たとえば人から贈り物をいただく。でも、だいたいの贈り物って始末に困っちゃう。だから、贈り物に「いりません」って書いて送り返したりしているんだから(笑)。

子ども若者編集部メンバー すごい(笑)

樹木 どうぞご放念くださいってやつよ。まあ、そのせいでだいぶ苦労してきましたけどね。一度、女優・杉村春子さんに収録現場で「へったなの」って言ったこともあったから。

一同 ええっ!!

樹木 映画監督・小津安二郎さんの映画だったんだけど、何度もNGが出るから、「なんだよ」って思っちゃたのよ。まあ、そういうように人とぶつかるのが苦じゃなかったの。小さいころから変わっていて、若いころもそんなんだから「なんだか生きづらいな」と思っていましたが、楽は楽よ。ガマンとか辛抱とか、そういう記憶がないんだもの。

 あなたも、自分をよく見せようとか、世間様におもねらなければ楽になるんじゃないでしょうか。だいたい他人様からよく思われても、他人様はなんにもしてくれないし(笑)。

子ども若者編集部メンバー 僕は小学校6年生で不登校をして5年間、ひきこもっていました。自分が不登校だったことを、なにか活かせないかと考えているんですが、どれもこれもうまくいかないんですね。

樹木 計画性があるから挫折するんでしょうね。夢を持つのは大事なことなんだけど、そこに到達できなかったからって挫折するのはバカバカしいことじゃない。方向を変えればいいの。もし、どうしようかと迷ったら、自分にとって楽なほうに道を変えればいいんじゃないかしら。

子ども若者編集部メンバー ただ、この前も成人式に行ったら、友人は大学に行ったり、働いていたり。どうしても自分とまわりを比べてしまうというか……。

樹木 わかる。私もデパートガールを始めた同級生がものすごく輝かしく見えていたから(笑)。私が18歳のとき、行くところがなくて劇団「文学座」に入ったんです。今もそうだけど劇団員なんて先が見えない仕事でしょ。まわりが銀行員になったり、大学に行ったりする。花が開くと思われた4月に自分はなにもない。おまけにまわりの劇団員はみんなキレイ。「取り残された」っていう実感はそりゃあもうリアルでしたよ。

 でも、いま考えればバッカみたいだけど(笑)。

 この地球上にはおびただしい数の人間がいます。人間として幸せなのは適職に出会うことです。自分がこれだと思うことに仕えられるほど幸せなことはありません。もちろん、たくさんのお金を儲けたから適職ってことじゃないし、仕えるのは会社ともかぎりません。そういう、「これだ」と思える適職に出会えた人は一握りしかいないんです。つくづく私も「芸能界には向いてないな」って思うんです。まあ、もうこの年になったら向くも向かないもないんだけどね(笑)。

 だから、あきらめるしかないんだけど……って、あなたの質問にちゃんと答えているかしら?

子ども若者編集部メンバー たしかに大学に行った友だちが「あんまり楽しくないぞ」と言ってました。

樹木 そういうもんなの。あなた、このなかで一番ハンサムだから。別に好きでその顔に生まれたわけじゃないと思うけど、その顔で生まれなかった人からすればうらやましいはずよ。その顔を活かすのに命を懸けたっていいじゃない。

 私は、よく思うんだけど、誰だってチャーミングなところがあるのに、ほとんどの人がそれにふたをしちゃってるんです。たとえば、俳優の小林亜星さんっているでしょ。ドラマ『寺内貫太郎一家』(74年放送)を始めたとき、私たちが主役は小林亜星さんがいいって言ったのよ。亜星さんなんて太ってるぐらいしか取り柄のない人でしょ。

一同 いやいやいや(苦笑)

樹木 あの人はホントに太っている人のよさをすごくわかっている。所作がちがう。ああいうのが大事なの。今や、女優もアナウンサーも、最近じゃスポーツ選手もみんな同じ顔だからね。同じような顔に同じような服を来て、それで若い女優さんは「役が来ない」ってこぼすんだから、もうこっちはケンカ腰よ(笑)。

親もいっしょに降りて寄り添うしかない
石井 最後に自分の子どもが不登校やひきこもりだったら、つまり、御しがたいダイバダッタのように見えたら、親としてどう向き合えがいいのかについて教えてください。

樹木 うん……、きっと自分だけが助かる位置にいちゃダメなんだろうと思います。自分も降りていかないと。夫は「不良になるのも勇気がいる」と言ってましたが、道を外すのも覚悟がいることです。親も子も今の環境や状況を選んだわけじゃないだろうし、そうならざるを得なかったのかもしれません。でも、それはそれで親子ともどもいっしょにやっていこう、と。路上でもいっしょに生活しようという覚悟を私ならすると思うんです。いっしょに住んでいる人はホントにたいへんだと思いますが、結局、親はその子の苦しみに寄り添うしかないです。言って治るようならとっくに治っています。最初の話に戻りますが、自分が成熟するための存在なんだと受け取り方を変えるのがいいのではないでしょうか。

石井 なるほど

樹木 最後になっちゃったけど、この新聞はたいへんなお仕事だと思いますが、かならず救われる人がいると思いますし、ぜひがんばってください。もちろん自分にとってもいい出会いができると思います。今日はどうもありがとうございました。 

一同 こちらこそ、本当にありがとうございました。

2014年12月15日『不登校新聞』掲載
引用:不登校新聞



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